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自然なものは健康である。
美にいろいろあろうとも、健康に勝る美はあり得ない。
なぜなら健康は常態であるからである。
最も自然な姿だからである。
人々はかかる場合を「無事」といい、「無難」といい、「平安」といい、また「息災」という。
禅語にも「至道無難」というが、難なき常態より讃うべきものはない。
そこには波瀾がないからである。
静穏の美こそ最後の美である。
『臨済録』にいう、「無事は至れ貴人、但だ創作すること莫れ」と。
柳宗悦
1889年3月21日 - 1961年5月3日
